某社の社員が残業の多さで自殺したことによって、ここ近年で問題になっている「働き方改革」。
それは「当直」「時間外労働」「無給医」で問題となる医師も例外ではありません。
では、この働き方改革によって医師の働き方はどうなるのでしょうか。
医学生の身ではありますが医学生なりに考えてみました。
「いい感じ」にまるめられる
ずばり働き方改革によって医師は「いい感じ」にまるめられて利用されると予想しています。
これらについて説明していく前に、まずは今の医師の環境を見直してみましょう。
今の医師を取り巻く環境
今の医師を取り巻く環境として挙げられるのは主に以下のものです。
- 時間外労働の多さ(長時間労働)
- 責任の重さ
- 超高齢社会
まず、長時間労働に関してですがこれは本当に由々しき問題です。
当直後に普通に診療する医師もいるようですが、正直日によってはまともに診療できないと思います。
当直に関しては、以前裁判で「平均仮眠3〜6時間の当直業務は全体が労働時間」という判決が下されており、立派な労働です。
医師の不養生とは本当によく言った皮肉だなと感じます。
患者も万全でない医師に診てもらいたいとは思っていません。
それでいて、医療には責任が伴うので気を休められないわけです。
「チーム医療」という言葉があり、医師が中心の医療ではなく患者とその家族が中心になって医師や看護師、薬剤師や理学療法士など多職種間で連携して行う医療が最近掲げられています。
しかし、これは口だけだなと僕は思っています。
なぜなら、チーム医療は法律で定められておらず、法律で定められているのは「医師が処方箋を出す」「医師が他職種に指示を出す」といった医師が中心にならざるを得ない環境ができているからです。
さらに、日本は超高齢社会に突入しています。
「2025年問題」が叫ばれる中医師はさらに多くの患者を診ていく必要があるわけです。
では、このような環境の中働き方改革が医師に起こるとどのような変化が起こるのでしょうか?
給料が減る
まず、第一に「給料が減る」ことが考えられます。
それはそのはずで、現在日本の総人口は約1.2億人で年々減少しています。
そして、老年人口(65歳〜)が増加して生産年齢人口(15〜64歳)が減少するわけですから、我々の世代の高齢者の負担が実質大きくなります。
さらに、税金を納める負担者も少なくなりますから国民医療費の公費を集めるのが難しくなります(まあおそらく税金の税率がものすごく跳ね上がりそうですが)。
いくら税率をあげたとしてもいずれ限界はきます。そうすると税金で集めたお金が減るわけで、それがどこに影響するかというと医師の給料です。
勤務医は病院から決まった給料をもらっています。
そして、病院はどこからお金をもらっているかというと国からお金をもらっており、そのお金が突き詰めれば「国民から集めた税金」なわけです(診療報酬制度)。
医師は「いい感じ」にまるめられて利用される税金が減れば病院にいくお金も減り、医師の給料も減るということです。やりがいに頼ったテレワーク
今、この騒ぎで「テレワーク」が流行っていますが、これは医療界隈も例外ではありません。
このテレワークを利用してどのように働き方改革が変わるかというと、以下の様になります。
本当にこうなると僕は考えています。
ただでさえ今ですら医師の「やりがい」という名の善意に頼って医療は行われています。
この騒ぎでそれが顕著になりましたし、しかも「医療従事者の子供を保育園に入れるな!」と差別も起きています。
「医療従事者に感謝を!」と言って生徒全員に拍手をさせる学校もありましたが、そんなのは欲しくありません。
ほしいのは「お金と時間」です。
こうしたものが横行している以上、将来的に「医師に感謝」という形だけの儀式的なものを行ってテレワークをさせる可能性があると僕は考えています。
このままだとまるめられてしまう
給料も低くなり、それでいてブラックな環境で働くというのが医師の将来的な環境です。働き方改革によって、医師は上記のような「いい感じ」にうまく丸められて利用されてしまいます。
では、どうすればいいのか?
ひとつに「このあり方を根本から変える」というのがありますが正直めちゃくちゃ難しいです。
医師で国会議員の人もいますが、そんな活動をしているとは聞いたことがありません。
僕個人の意見としては、「『いい感じに』逃げる」というのがありだと考えています。
もちろん、ここから粉骨砕身で医療に携わりたいというのなら話は別です。
しかし、そうでない僕のような人は将来的にまるめこまれないためにも、「時間外労働が少ない科にいく」「医療ベンチャー企業に就職する」というような抜け道を考えていくべきです。