
この記事では、アトピー性皮膚炎(AD)や乾癬において生物学的製剤(バイオ)導入の際の注意点を若手皮膚科医の観点からお伝えします。
半分は自分自身への備忘録なのでご了承ください。
目次
ADへのバイオ導入の注意点
そもそも、本当にADなのか?
この点が結構重要な気がします。
幼少期から、左右対称性の典型的な皮疹、これらがあれば特に診断には迷うことは少ないですが、成人発症のADはADと思っていても皮膚リンパ腫などの可能性を私は念頭に置くようにしています。
特に、壮年期以降の新規発症は要注意で、皮膚リンパ腫除外のためであれば皮膚生検が鑑別には有用です。
レセプト面からカルテに記載したいこと
ガイダンスに記載のある通りです。以下引用です。
・IGA スコア3以上
・EASIスコア16以上,または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上)
・体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10% 以上アトピー性皮膚炎における生物学的製剤の使用ガイダンス
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/atopy_bio_2023.pdf
なお、ミチーガについては適用病名が「アトピー性皮膚炎によるそう痒」と他と比べて特殊であり、記載事項が変わります。以下の通りです。
・瘙痒VASが50以上又は瘙痒NRSが5以上
・かゆみスコアが3以上
・EASIスコア10以上アトピー性皮膚炎における生物学的製剤の使用ガイダンス
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/atopy_bio_2023.pdf
IGAスコア
Investigator's global assessment score 主観による評価
0:無症状
1:ほとんど病変なし
2:軽症
3:中等症
4:重症
EASIスコア
Eczema area and severity index score 客観的な評価(といいつつも主観は入りますが)
マルホが掲載しているPDFにおおよその目安があるので参考にしてください。https://www.maruho.co.jp/medical/articles/mitchga/easiscoresheet/index.ht
大切なことはバイオ導入前に写真を撮ること!
これさえしておけばあとで記載すればいいと思います。
「これくらいの皮疹でバイオ導入していいかわからない、、、」
そう思っていてもとりあえず写真を撮っておくほうが吉です。
乾癬へのバイオ導入の注意点
そもそも、乾癬で診断は正しいか?
典型的であれば迷わないですが、たまに迷うことがあります。膿疱性乾癬がその例でしょうか。
迷ったときには皮膚生検がベターです。
関節症状はどれくらいあるか?
関節症状の有無でバイオの種類が変わることが多いです。
私自身は関節症状がなければIL-23製剤、あればIL-17製剤を用いることが多いです。
もちろん、膠原病内科とも連携して関節症状の評価を継続いただくに越したことはありません。
スクリーニングはちゃんとおこなったか?
ガイダンスに記載がありますが、検査結果は漏れがないかしっかり確認しましょう。
T-SPOTなど数日経ってから結果がわかるものもあるので、忘れないようにチェックする方がベターです。
レセプト面からカルテに記載したいこと
以下の通りです。ADとは異なり、いずれかでよいというのがポイントでしょうか。
“the rule of 10s”( BSA10%以上,PASIスコア10以上,DLQI(Dermatology Life Quality Index)スコア10以上のいずれかを満たす)
乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス (2022年版)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/kansen2022.pdf
※BSA 体表面積のこと。手のひら1枚をおおよそ1%とする。
PASIスコア
Psoriasis area and severity index score 客観的な評価
ADと同様の評価方法。例の図がなく載せられず申し訳ありません。。。
DLQIスコア
Dermatology Life Quality Index score
10項目の質問から点数を決定。30点満点で、QOLが低いほど点数が高くなり重症となる。
以下参考にしてください。
https://www.okusuri.novartis.co.jp/cosentyx/psoriasis/chiryou/01
おわりに スムーズなバイオ導入を
最初はやることが多く戸惑うこともありますが、慣れてくればそこまで苦に思わずにできるようになると思います。
とはいっても私自身もまだまだ未熟者なので精進していきます。
間違いやコメントあればお気軽にお願いします。
最後までご覧くださりありがとうございました。








