低学年のときに基礎医学と同時に襲いかかってくる医学英語。
このご時世に医学英語をちゃんとやる必要はあるのか?
その疑問について、ほどほどに医学英語を勉強した僕なりの見解を述べていきたいと思います。
解剖名の英語は知っておいて損はない
結論からいうと、解剖名の英語は知っておいて損はないです!
もちろん、ちゃんと医学英語はやっておいた方が役立つことは多いですが、時間がないという人もいるはずです。
その場合は最低限解剖名だけでも基礎医学のときから覚えておくとコスパが良いと思います。
Google翻訳で大半は事足りる
医学英語を勉強するとなると、このような意見が出ると思います。
まさしくその通りで、僕もレポートを書くときの参考文献にガイドライン以外に「UpToDate」や「Pubmed」を使用していますが、Google翻訳に頼りっぱなしです笑。
僕は英語が大の苦手で、センター試験、2次試験でも合格者平均以下の点数をとるほどです。
よく受かったなと今でも思っています。
こういう厳しい意見をいう人もいますが、いかんせん医療者、医学生には時間がありません。
参考文献を調べるのに時間をかけていては他の業務が進まないのです。
そのため、「Google翻訳」という最新技術に頼って書くのは僕自身全然悪いことではないと考えています。
そうすると、「やっぱり医学英語いらないのでは?」という意見になりますが、そういうわけではありません。
略称に英語が使われる
では、どこに医学英語が使われるかというと、それは解剖名や病気の名前です。
例えば、解剖名についてですが「SVC」や「PA」、「RCA」などは普通に臨床でも使われています。
- SVC: superior vena cava; 上大静脈
- PA: pulmonary artery; 肺動脈
- RCA: right coronary artery; 右冠動脈
それぞれ以上のような意味ですが、カルテでは英語表記していることが多いです。先生たちも、英語の略称で言うことが多いです。
また、病気の名前も日本語ではとても長くなるので、英語の略称で言うことが多いです。
例として「FSGS」や「PSAGN」という腎糸球体疾患があります。
- FSGS: focal segmental glomerular sclerosis; 巣状分節性糸球体硬化症
- PSAGN: poststreptococcal acute glomerulonephritis; 溶連菌感染後糸球体腎炎
以上のような意味になりますが、正式名称で言うことはほとんどありません。先生方も「FSGS」や「PSAGN」と呼んでいます。
実は、臨床で出てくる疾患の名前というのは医学英語で学んだ英語を組み合わせてできています。
PSAGNの「glomerulonephritis」ですが、「glomerulo/nephri/tis」と分けることができ、「glomerulo」は「糸球体」、「nephri」は「腎」(ネフロンもここから来ています)、「tis」は「炎」の意味です。
(細かくいうと違うかもしれませんが大体この解釈で大丈夫です)
このように、医学英語をある程度やっていると疾患を覚えるときに英語の略称に手間取ることなく覚えることができるようになります。
臨床に英語由来の言葉が出てくる
次に、日常臨床に英語由来の言葉が出てくることが挙げられます。
例えば、「タキる」や「ケモ」、「コンタミ」という言葉が有名なものとして挙げられており、その意味は以下のようになっています。
- タキる:頻脈という意味。頻脈を表す「tachycardia」から。
- ケモ:化学療法のこと。英語の「chemotherapy」から。
- コンタミ:混入、汚染の意味。実験で試験管に不純物が入ったときによく言う。英語の「contamination」に由来している。
これ以外にも、医学英語由来の言葉が臨床では用いられています。
もちろん、「カルテ」などドイツ語由来の言葉もありますが、英語由来の医療用語が大半なので、理解を深めるために医学英語はある程度やっておいて損はないのです。
基礎医学の頃から少しずつ覚える
さて、ここまで医学英語が論文を読むときには翻訳を使えばいいとして、どういう場面で必要になるかを伝えてきました。
正直、高学年になってから一から勉強しようとしても、国試では医学英語単体の出題はほとんどないためコスパが悪いです。
ですが、日常臨床ではこういった用語がどんどん出てくるため、それに備えて基礎医学を学習するときから英語を少しずつ覚えていくのが効率的だと思います。
特に、解剖学では解剖名を覚えると同時に英語もできる限り目を通すようにすると、後々CTやMRIを読むときなど役立つ場面が多くなると思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです!