医学生最初の関門となる実習、解剖実習。
たいていの医学生にとって、解剖なんてものは人生に一度しか経験しません。
となる人が圧倒的に多いです。
医学を勉強したての頃に行うので後悔するのは仕方ないことですが…。
その解剖実習をどうやって乗り切れば良いのか、体験談を踏まえて伝えていきます!
予習は不可欠
普段の医学の勉強で予習することはないと思います。というかほぼないです。
ところが、解剖実習においては話が別です。
解剖実習では予習をある程度やる必要があります。大学によっては課題として出ているところもあります(僕の大学もそうでした)。
そもそも、解剖実習とは法律では「系統解剖」に属しています。
このとき解剖する御献体は、生前から「死んだら医学生の勉強のために解剖して良いですよ」という意思表示をしてくださり、それに遺族が同意した方々です。
その方々のご好意をおざなりにして良い理由がどこにあるでしょうか。
予習は最低限やってから臨むべきですし、まず普通に予習しないとまじで何が何だかわからないことになり、他の班員に迷惑をかけます。
そのため、予習はある程度やってから実習に臨むようにしてください。
予習するときには、「解剖実習の手引き」を参考にすることが多いです。実習中もこれを使って進めていきます。
ところが、この本は字だらけで理解しにくい部分があるので、アトラス(図表のことです)を準備しておいた方が良いです。
アトラスとして有名なものに「ネッター解剖学アトラス」だったり「プロメテウス解剖学アトラス」だったりがありますが、自分の好みで選んで構いません。
結構高額なので、図書館で借りるのも手です。
まずは、「明日はこんなことするんだな」と予習である程度把握しておくことをオススメします。
という人は土日に1週間分をあらかじめ予習すれば良い話です。
実習中は課題があるならそれを優先
さて、実習中の話になりますが大学によっては解剖で出した(=剖出した)血管や神経に糸を結んでそれを先生に見せると点数がもらえるという制度を設けているところがあります。
僕のところはそうでした。
もし僕と同じような制度がある場合、まずは課題を優先してください。
もちろん、「解剖実習の手引き」にしたがって解剖を進めていかないと課題である解剖物を剖出するのは難しいです。
しかし、昔の本ということもあり文章的に読みにくいところが多々あります。
そういうときはずっと悩むのではなく一回飛ばして進めてみると、あとで「これか!」と意外と見つかる可能性があります(もちろん自己責任です)。
もうひとつの制度としてあるのが「口頭試問」です。
これはある程度解剖を進めたときに、先生が各班に行って
というように聞いてくるのでそれに答えるテストです。
この場合は、あらかじめ解剖実習が始まる前に過去問などでどういうことが聞かれるのかを調べておきます。
過去にも口頭試問で聞かれているところを中心に手引きに沿ってしっかり剖出し、班員と「これが椎骨動脈だ!」と逐一確認しておくことが大切です。
人間の体は左右非対称なので班員全員と確認する必要があります。
このように、課題が設けられている場合はその課題を中心に解剖を進めていくとだれてしまいにくいです。
班員のことを考える
これはポリクリのときにも大事な心得です。
班員と協力なくして解剖実習はできません。
解剖実習は、各班5、6人ほどに分かれて行いますが、そのとき御献体の左右で半分ずつにさらに分かれます。
そして、先述したように人間の体は左右非対称なので、ここでしっかり協力する必要があるのです。
予習をしなければならないのも、これが理由です。
まあこういう意見を持つことは自由ですが、正直かなりもったいないです。
解剖できるなんて医師になる人間でも大半は人生に一度しかありません。
外科を目指さないのであればまず生の神経や血管すらみる機会はなかなかないです。
僕もこの実習で心臓と脳を生でみたときは感動しました。
語彙力が低くてすみません。笑
でも、こうした経験をできるのは解剖実習しかないので、最低限勉強して班員と巨力しながら進めて行った方が今後ためになるのは確かです!
貴重な経験なのでしっかり臨むべし
さらに、解剖実習では触ることもできます。
外科手術では、触ることはあるかもしれませんが強く掴んだり、臓器を体外で持つなんてことは普通ないです。
そういう意味では、この解剖実習は一生に一度の機会になります。
確かに、剖出したいものが全然出なくて辛いときもありますが、終えたときの達成感はすごいです。
ぜひこれから解剖実習をする医学生は予習をして班員と協力して充実した実習を送って欲しいです!